- 2025年4月11日
モデムとルーターの違いは?初心者でもわかる機能と選び方のポイント

この記事では、インターネットへの接続に欠かせないモデムとルーターの違いを解説します。それぞれの役割や機能、選び方も紹介するので、「なぜ両方必要なのか」「自分の環境に合った機器はどれか」といった疑問の解決にお役立てください。
モデムとは?
モデムは「MOdulator(変調器)」と「DEModulator(復調器)」の略称で、デジタル信号とアナログ信号を相互に変換する通信機器です。インターネット接続の最初の関門として、ご家庭のデジタル機器とネットワークを繋ぐ重要な役割を果たします。
私たちの使うパソコンやスマートフォンなどのデジタル機器は、モデムがなければ電話回線や光ファイバーといったアナログ信号を扱う通信回線と直接繋がることはできません。モデムは、この二つの異なる世界を橋渡しする通訳者のような存在です。
モデムの機能
モデムの最も基本的な機能は、コンピュータが扱うデジタル信号(0と1の二進数)を、電話回線などで送れるアナログ信号に変換することです。そして反対に、受信したアナログ信号をコンピュータが理解できるデジタル信号に戻す機能も持っています。
たとえば、ADSLモデムは電話回線を使ってインターネット接続を行う際に、デジタルデータを電話回線で伝送可能な周波数のアナログ信号に変換します。また、ケーブルモデムはテレビケーブル回線を通じてインターネット接続を提供する際に同様の変換を行います。
現代のモデムは単なる信号変換だけでなく、以下のような機能も備えていることが多いです。
- 回線の接続・切断の制御
- 通信エラーの検出と修正
- データの圧縮と解凍
- 通信速度の自動調整
- 一部のモデムではファイアウォール機能も搭載
近年ではモデムとルーターの機能を一体化した「モデム内蔵ルーター」も多く販売されており、こうした統合型デバイスの普及が進んでいます。
モデムの種類
モデムは接続する回線の種類によって大きく分けられます。主な種類は以下のとおりです。
モデムの種類 | 対応回線 | 特徴 |
---|---|---|
ADSLモデム | ADSL回線(電話回線) | 電話回線を利用して高速データ通信を実現。下り最大50Mbps程度 |
ケーブルモデム | ケーブルテレビ回線 | テレビ用同軸ケーブルを利用。下り最大1Gbps以上の高速通信が可能 |
光回線用ONU | 光ファイバー回線 | 厳密にはモデムではなくONU(Optical Network Unit)。光信号を電気信号に変換。最大10Gbpsの超高速通信 |
ホームゲートウェイ | フレッツ光などの光回線 | ONUとルーター機能を統合したNTT提供の機器 |
4G/5Gモデム | 携帯電話回線 | モバイルデータ通信に使用。ポケットWiFiなどに内蔵 |
現在日本で最も普及しているのは光回線用ONUです。総務省の「令和2年通信利用動向調査」によると、固定回線でのインターネット接続は光回線の利用率が最も高くなっています。
ADSLモデムは電話回線を使用するため普及率が高かった時期もありましたが、現在では新規申込が終了している地域も多く、光回線への移行が進んでいます。ケーブルモデムはケーブルテレビエリアで使用され、特に集合住宅などでは今も一定のシェアを保っています。
また、スマートフォンの普及に伴ってモバイル用モデム(LTEモデムや5Gモデム)も急速に普及しており、ポケットWi-Fiなどのモバイルルーターに内蔵されています。電気通信事業者協会の統計によれば、モバイル通信の契約数は年々増加傾向にあります。
このように、インターネット接続の入り口となるモデムは、通信回線の種類や環境によって様々なタイプが提供されています。次の章では、モデムと並んで重要なルーターについて解説します。
ルーターとは?
ルーターとは、複数のネットワークを相互に接続し、データの送受信を適切に制御する通信機器です。家庭やオフィスでインターネットを複数の端末で共有するための重要な橋渡し役を担っています。
一般的に、モデムからのインターネット回線を受け取り、家庭内のパソコンやスマートフォン、IoT機器などの複数のデバイスに分配する役割を果たします。データパケットを最適な経路で送信するルーティング機能が名前の由来となっています。
ルーターの機能
ルーターには多くの重要な機能が搭載されています。基本的な機能から応用的な機能まで幅広く解説します。
ネットワーク分配機能
ルーターの最も基本的な機能は、接続を複数のデバイスに分配し、1本のインターネット回線を家庭内の様々な機器で共有できるようにすることです。
ルーターがなければ1台のデバイスしかインターネットに接続できないため、複数のデバイスを使用する現代の生活スタイルでは必須の機器となっています。
ルーティング機能
ルーターは送信元から宛先まで最適な経路でデータを転送するための判断を行います。
これにより、複数のネットワーク間でスムーズなデータのやり取りが可能になります。インターネット全体が巨大なルーターのネットワークによって支えられていると言っても過言ではありません。
IPアドレス管理(DHCPサーバー機能)
ルーターには通常、DHCPサーバー機能が搭載されています。この機能により、ネットワークに接続する各デバイスへ自動的にIPアドレスを割り当てることができます。
ルーターはユーザーが手動で設定する手間を省き、接続するだけで自動的にネットワーク設定が完了する利便性を提供しています。
セキュリティ機能
ルーターには以下のようにさまざまなセキュリティ機能が搭載されています。
- ファイアウォール:不正なアクセスを遮断する
- VPNパススルー:安全な仮想プライベートネットワーク接続をサポートする
- アクセス制限:特定のウェブサイトやサービスへのアクセスを制限する
- DMZ設定:特定のデバイスを外部に公開する際の設定
家庭内のネットワークを守るためにも、ルーターのセキュリティ機能は重要です。
無線LAN(Wi-Fi)機能
多くの家庭用ルーターは無線LAN機能を備えているため、ケーブル接続なしでインターネットに接続できるようになります。2025年時点の最新規格は、「Wi-Fi 7」で、従来の「Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)」、「Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)」よりも高速かつ効率的な通信が可能です。
デュアルバンド(2.4GHzと5GHz)やトライバンド対応のルーターも増えており、接続環境や用途に応じて適切な周波数帯を選択できます。
Wi-Fi規格 | 理論上の最大速度 | 周波数帯 | 特徴 |
---|---|---|---|
Wi-Fi 4 (802.11n) | 600Mbps | 2.4GHz/5GHz | 旧世代規格、普及型ルーターに搭載 |
Wi-Fi 5 (802.11ac) | 6.9Gbps | 5GHz | 普及型・中級ルーターの標準規格 |
Wi-Fi 6 (802.11ax) | 9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz | 同時接続性能向上 |
Wi-Fi 6E (802.11ax) | 9.6Gbps+ | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 6GHz帯対応で混雑回避 |
Wi-Fi 7(802.11be) | 46Gbps | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 超高速通信&低遅延対応 |
ルーターの種類
ルーターは用途や形状によってさまざまな種類があります。それぞれの特徴を解説します。
家庭用ルーター
一般家庭で使用される小型のルーターです。手軽に設置でき、Wi-Fi機能を備えていることが多いのが特徴です。
- 据え置き型:デスクやテレビ台に設置するタイプ
- 壁掛け型:壁に取り付けて場所を取らないタイプ
- コンパクト型:小型で持ち運びも可能なタイプ
代表的なメーカーとしてはバッファロー、TP-Link、エレコムなどが挙げられます。
モバイルルーター(ポケットWi-Fi)
携帯電話の回線を利用してインターネット接続を提供する小型のルーターです。外出先でもWi-Fi環境を作り出せるのが最大の特徴です。
モバイルルーターはモデムとルーターの機能を一体化させた製品で、SIMカードを挿入して使用します。バッテリー駆動で持ち運びができるため、出張や旅行に便利です。
代表的な事業者としてはUQ WiMAXや楽天モバイルなどが挙げられます。
ビジネス用ルーター
企業や事業所で使用されるハイエンドルーターです。高い処理能力と管理機能を備えています。
- VPN機能:リモートアクセスや拠点間接続に対応
- 高度なセキュリティ機能:侵入検知・防止システムなど
- QoS(Quality of Service):通信の優先度設定
- 冗長化対応:障害に備えたバックアップ機能
バッファローやヤマハ、Ciscoなどの製品が広く利用されています。
メッシュWi-Fiシステム
メッシュWi-Fiシステムは、複数のアクセスポイント(ノード)を配置して広範囲をカバーするWi-Fiシステムです。従来のWi-Fi中継器と異なり、シームレスな接続を実現します。
大きな住宅やマンション、オフィスなど、単一のルーターではカバーしきれない広い空間で効果を発揮します。TP-Linkやバッファローなど、各社からメッシュWi-Fiルーターが発売されており、最近ではメッシュWi-Fiの普及によって家庭内のWi-Fi環境を簡単に構築できるようになりました。
電波の届きにくい部屋や死角をなくし、家中どこでも安定した通信環境を実現することが可能です。
モデムとルーターの違いを改めて比較
モデムとルーターはどちらもインターネットへの接続に関わる大切な機器ですが、その役割と機能は明確に違います。モデムはインターネット信号を変換し、ルーターはネットワークの接続と管理を行います。ここではそれぞれの機器の特性を詳しく比較していきましょう。
接続方式
モデムとルーターの最も基本的な違いは、それぞれが処理する信号の種類と接続方式です。
モデムは「変調・復調」を担当し、デジタル信号とアナログ信号を相互に変換します。具体的には、インターネットサービスプロバイダー(ISP)から送られてくるアナログ信号をコンピューターが理解できるデジタル信号に変換し、またその逆の変換も行います。
一方、ルーターはデジタル信号のままで、複数のデバイスにインターネット接続を「分配」する役割を持ちます。家庭内のネットワークとインターネットの間でデータのやり取りを管理し、適切なデバイスに情報を送る交通整理係のような存在です。
比較項目 | モデム | ルーター |
---|---|---|
主な機能 | 信号の変調・復調(変換) | ネットワークの分配・管理 |
接続先 | インターネット回線⇔単一デバイスまたはルーター | モデム⇔複数のデバイス |
信号処理 | アナログ⇔デジタル変換 | デジタル信号の管理・振り分け |
機能
モデムとルーターは機能も明確に違います。それぞれの特徴的な機能を比較してみましょう。
モデムの主要機能はインターネット回線からの信号を変換することで、単一の目的に特化しています。モデム単体では、通常1台のデバイスにしかインターネットへの接続を提供できません。また、高度な設定やセキュリティ機能は限られています。
対照的に、ルーターはネットワーク管理のスペシャリストとして多機能です。主な機能としては以下のとおりです。
- 複数デバイスをインターネットへ接続する
- Wi-Fi接続の管理とワイヤレスネットワークの構築を行う
- ネットワークセキュリティを提供する(ファイアウォール機能など)
- デバイス間の通信制御を行う(ポート転送、QoS設定など)
- ネットワークアドレス変換(NAT)によるIPアドレスを管理する
バッファローのWSR-5400AX6のような高性能ルーターでは、ペアレンタルコントロール(子どものインターネット利用制限)やゲスト用Wi-Fiネットワークの作成など、より高度な機能も搭載されています。
機能比較 | モデム | ルーター |
---|---|---|
接続デバイス数 | 通常1台 | 複数(機種による) |
Wi-Fi機能 | 基本的になし(一体型を除く) | あり(Wi-Fiルーターの場合) |
セキュリティ機能 | 限定的 | 充実(ファイアウォール、VPN対応など) |
設定カスタマイズ | 最小限 | 豊富(QoS、ポート転送など) |
設置場所
モデムとルーターは最適な設置場所も違います。これは機器の役割や接続形態によるものです。
モデムは基本的に有線接続なので、主にインターネット回線の引き込み口近くへ設置します。
たとえば以下です。
- 光回線の場合:光回線終端装置(ONU)の近く
- ADSL回線の場合:電話線のジャック付近
- ケーブルテレビ回線の場合:ケーブルの引き込み口近く
一方、ルーターは電波到達範囲を最大化するために、家の中心部や複数のデバイスを使用するエリアの中心に設置するのが理想的です。
特に、Wi-Fiルーターの場合は以下のポイントを考慮して設置場所を決めるとよいでしょう。
- 家の中央付近の高い場所(床から離す)
- 障害物(特に金属や水を含むもの)の少ない場所
- 他の電子機器(電子レンジ、コードレス電話など)から離す
- Wi-Fi信号を多く使うエリア(リビングやホームオフィスなど)に近い場所
広い家や電波の届きにくい家の場合は、メッシュWi-Fiシステムを導入することで家全体をカバーする安定した無線接続が実現できます。
近年では、モデムとルーターの機能を一体化した「モデムルーター」も増えていますが、それぞれの最適な設置場所が異なることを考えると別々の機器として運用するメリットもあります。特に、大きな住居ではモデムは回線引き込み口に設置し、ルーターは家の中心に配置することでより効率的なネットワーク環境を構築できるでしょう。
モデムとルーターが必要なケース、必要ではないケース
インターネットへ接続するにあたり、モデムとルーターが常に必要というわけではありません。利用する回線の種類や契約内容によって必要な機器は異なります。ここでは、どのようなケースでモデムやルーターが必要になるのか、逆にどのような場合に不要なのかを詳しく解説します。
インターネット回線によって異なる
回線の種類によって必要な機器構成が異なるため、ご自宅の回線タイプを確認してから適切な機器を選びましょう。
回線タイプ | モデムの必要性 | ルーターの必要性 | 一般的な構成 |
---|---|---|---|
光回線 | ONU(光回線終端装置)が必要 | 複数機器を接続する場合は必要 | ONU → ルーター → 各デバイス |
ADSL回線 | 必須 | 複数機器を接続する場合は必要 | ADSLモデム → ルーター → 各デバイス |
ケーブルテレビ回線 | 必須 | 複数機器を接続する場合は必要 | ケーブルモデム → ルーター → 各デバイス |
モバイルWi-Fi | 内蔵済み | 内蔵済み | モバイルWi-Fiルーター → 各デバイス |
以下で各回線タイプについて詳しく説明します。
光回線の場合
光回線では、光ファイバーケーブルを通じて送られてくる光信号をデジタル信号に変換する「ONU(Optical Network Unit)」または「光回線終端装置」と呼ばれる機器が必要です。これは従来のモデムに相当する役割を果たします。
ONUとルーターが一体型の場合
現在はONUとルーター機能が一体となった「ホームゲートウェイ」や「光電話対応ルーター」と呼ばれる機器を提供している光回線事業者が増えています。NTT西日本のPR-500MIなどがその代表例です。この場合、追加でルーターを購入する必要はありません。
ただし、一体型機器のWi-Fi性能に不満がある場合や、より広範囲のWi-Fi環境を構築したい場合は、別途Wi-Fiルーターを追加接続することも可能です。
ONUが単体の場合
光回線事業者によっては、ONUのみを提供しているケースもあります。
この場合は以下のとおりです。
- 1台のパソコンだけを接続する場合:ルーターは不要で、ONUから直接LANケーブルでパソコンに接続可能
- 複数のデバイスをインターネットに接続したい場合:別途ルーターが必要
- Wi-Fi接続を希望する場合:Wi-Fi機能付きルーターが必要
NURO光やフレッツ光などの光回線では基本的にONUのみの提供となるケースが多いため、ルーターは別途購入する必要があります。
ADSL回線の場合
ADSL回線は現在新規申し込みを終了している事業者が多いですが、まだ利用されている方もいるでしょう。ADSL回線では電話線を利用してインターネット接続を行うため、ADSLモデムが必須です。
ADSLモデムの役割
ADSLモデムは、電話線の音声信号とデジタルデータ信号を分離し、コンピューターで処理できる形式に変換する役割を担います。ADSL回線を使用する場合はモデムが必須で、回線事業者から貸与されることが一般的です。
ルーターの必要性
ADSLモデムは以下の2種類です。
- ルーター機能内蔵型ADSLモデム:Wi-Fi機能付きの場合もあり、この場合は追加のルーターは不要
- ルーター機能なしのADSLモデム:複数のデバイスを接続したい場合は別途ルーターが必要
利用しているモデムの仕様を確認してみましょう。
モバイルWi-Fiルーターの場合
モバイルWi-Fiルーターは、名前に「ルーター」と付いているとおり、ルーター機能を内蔵しています。また、モバイル回線(4GやLTE、5Gなど)の電波を受信してデジタル信号に変換するモデム機能も内蔵しています。
追加機器は不要
UQ WiMAXやドコモのhome 5GなどのモバイルWi-Fiサービスを利用する場合、モデムとルーター両方の機能が一体化された機器が提供されます。
- モバイル回線の電波を受信し、デジタル信号に変換する機能(モデム機能)
- 複数のデバイスにWi-Fi接続を提供する機能(ルーター機能)
これらが1台の機器に統合されているため、モバイルWi-Fiルーターを使用する場合は追加でモデムやルーターを用意する必要はありません。
ホームルーターとの違い
ホームルーターはポケット型Wi-Fiルーターより広い範囲をカバーし、安定した通信を提供します。
楽天モバイルのRakuten HikariやソフトバンクのAirなどが代表的なサービスです。これらも基本的にはモデムとルーターの機能を1台で提供しています。
モバイルルーターの場合でも、より広範囲のWi-Fi環境を構築したい場合は有線LANポートがある機種に別のWi-Fiルーターを接続することで拡張も可能です。ただし、すべてのモバイルルーターに有線LANポートがあるわけではないため、機種の仕様を確認する必要があります。
ルーターとモデムの選び方
インターネット環境を整える際、ルーターとモデムの選び方は快適なネット生活を左右する重要な要素です。ここでは、ニーズに合った機器選びのポイントを解説します。
回線速度に合わせたルーター選び
ルーターを選ぶ際に最も注目すべきは回線速度との相性です。いくら高速の光回線を契約していても、ルーターの性能が低ければ本来の速度を活かせません。
ルーターの転送速度は規格によって異なります。現在の無線LAN規格は以下のとおりです。
規格 | 理論上の最大速度 | 周波数帯 | 適した用途 |
---|---|---|---|
IEEE802.11be(Wi-Fi 7) | 46Gbps | 2.4GHz/5GHz/6GHz | クラウドゲーム・8Kストリーミング、業務用、メッシュ環境 |
IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6E) | 9.6Gbps+ | 2.4GHz/5GHz/6GHz | スマートホーム、AR/VR |
IEEE 802.11ax (Wi-Fi 6) | 最大9.6Gbps | 2.4GHz/5GHz/6GHz | 多数デバイス接続、4K/8K動画視聴、オンラインゲーム |
IEEE 802.11ac (Wi-Fi 5) | 最大6.9Gbps | 5GHz | 一般家庭用、HD動画視聴 |
IEEE 802.11n (Wi-Fi 4) | 最大600Mbps | 2.4GHz/5GHz | 一般的なWebブラウジング、メール |
光回線で1Gbpsの契約をしている場合は、Wi-Fi 5(IEEE 802.11ac)以上の規格に対応したルーターを選ぶべきです。さらに快適さを求めるなら、Wi-Fi 6(IEEE 802.11ax)以上に対応しているルーターがおすすめです。
総務省の無線LAN関連情報によると、最新規格はより効率的なデータ通信を実現し、バッテリー消費も抑えられるとされています。
同時接続台数に合わせたルーター選び
現代の家庭では、スマートフォン、タブレット、PC、スマートTV、IoT機器など、多数のデバイスが同時にネットワークに接続されています。このような環境では、同時接続性能が重要です。
ルーターの同時接続台数の目安は以下のとおりです。
- 一人暮らし・小世帯(1〜2人):10台程度の同時接続に対応するルーター
- 家族世帯(3〜4人):20台以上の同時接続に対応するルーター
- 大家族・IoT機器多数使用:30台以上の同時接続に対応するルーター
たとえば、家族4人がそれぞれスマホとノートPCを使い、さらにスマートスピーカーやスマートテレビなどのIoT機器も複数ある家庭では、MU-MIMO(マルチユーザー・マルチ入出力)技術を搭載したルーターが適しています。この技術により、複数のデバイスに同時に効率よくデータを送受信できます。
セキュリティ機能に注目したルーター選び
インターネットに接続する以上、セキュリティは最重要事項の一つです。最近のルーターには様々なセキュリティ機能が搭載されています。
確認すべき主なセキュリティ機能は以下のとおりです。
- WPA3暗号化:最新の無線LAN暗号化規格
- ファイアウォール機能:不正アクセスからネットワークを保護
- VPN(仮想プライベートネットワーク)サポート:安全な通信経路の確保
- ペアレンタルコントロール:子どものインターネット利用を管理
- 不正アクセス検知・防止機能:サイバー攻撃から防御
特に子どもがいる家庭では、ペアレンタルコントロール機能を備えたルーターを選ぶことで、特定のWebサイトへのアクセス制限や利用時間の制限が可能になります。
定期的なファームウェア更新の重要性
どんなに高性能なルーターでも、ファームウェアが古いままではセキュリティホールが残ったままになります。最新のセキュリティ対策が施されたファームウェアに更新できるルーターを選び、自動更新機能があるモデルを選ぶか定期的な手動更新を心がけましょう。
メッシュWi-Fiシステムの導入
広い家や2階建て以上の住宅、マンションなどでは、単一のルーターでは電波が届かない「電波の死角」が生じることがあります。そんな環境では、メッシュWi-Fiシステムの導入が効果的です。
メッシュWi-Fiシステムとは、複数のアクセスポイント(サテライト)を家の中に分散配置し、シームレスな無線ネットワークを構築するシステムです。
特徴は以下のとおりです。
- 広範囲をカバーする安定した電波
- 一つのSSIDで家中どこでも接続可能
- デバイスが移動しても最適なアクセスポイントに自動接続
- 導入後も拡張が容易
日本の一般的な住宅サイズでは、2〜3台のメッシュWi-Fiユニットで家全体をカバーできることが多いです。
近頃では、テレワークの増加に伴い自宅の通信環境を改善するためにメッシュWi-Fiを導入する家庭も増えています。
メッシュWi-Fi導入時の注意点
メッシュWi-Fiを導入する際は、以下の点に注意しましょう。
- 各ユニットの設置場所は互いに近すぎず、遠すぎない位置にする
- 壁や家具などの障害物をなるべく避けた配置を心がける
- 電子レンジや無線電話機など、電波干渉を起こす可能性のある機器から離して設置する
- 将来の拡張性を考慮して、拡張ユニットが購入可能なシリーズを選ぶ
快適なインターネット環境を構築するためには、自宅の広さや間取り、家族構成、使用するデバイス数、主な用途などを総合的に考慮してルーターやメッシュWi-Fiシステムを選ぶことが大切です。初期投資は少し高くなりますが、長期的に見れば快適なネット環境が得られることで、日々の生活の質が向上します。
まとめ
本記事では、モデムとルーターの基本的な違いから選び方まで解説してきました。モデムはデジタル信号とアナログ信号を変換する装置であり、ルーターは複数の機器をインターネットに接続するための機器です。光回線では光回線終端装置(ONU)が、ADSL回線ではモデムが必要になります。ルーター選びでは、ご家庭の回線速度、接続する機器の数、セキュリティ機能を重視しましょう。広い家や電波の届きにくい環境では、メッシュWi-Fiシステムの導入も効果的です。快適なネット環境を実現するために、ご自宅の環境に合わせた適切な機器を選びましょう。
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